ホスピタリティ及び観光産業における神話
ホスピタリティや観光業界で仕事をするということは、ずっと休暇を取っているようなものだと、聞いたことがあるかもしれません。 一日中、ホテルやバーやレストランのあちこちで、ちょこちょこと仕事をしたり、世界中を渡り歩いて、日焼けをしながら、人々が楽しい時間を過ごせるよう、手助けをしたりするような仕事なのだと。あるいは、ホスピタリティや観光に関わる仕事が、単なる穴埋めのようなものだと、聞いたことがあるかもしれません。 つまり休暇中に、ちょっとしたお小遣いを稼ぐようなものだというような。
もしあなたがこの仕事について、そう考えておられるのなら、それは間違っていると言わざるを得ません。多くの人々が、ホスピタリティや観光業界において、一生のキャリアを築こうとしています。これらのキャリアは刺激的でやりがいがあり、変化に富んでいますが、一方で大変な努力と献身を必要とします。
というわけで、ホスピタリティや観光業界で働こうと決める前に、まずは実際にはどのような業界であるのかを、探求する必要があるのです。
ホスピタリティ及び観光産業における実情
この業界では、飲食及び宿泊に関することが、すべてです。つまりそれは、観光、旅行、アトラクション、接客に関することすべて、という意味です。人々を楽しませる手助けをすることが、ホスピタリティ及び観光産業の基本なのです。
ホスピタリティ及び観光業界で働く人々に、私たちは日々遭遇します。ちょっと飲みに行くとき、何かを食べに行くとき、または豪華な世界一周旅行をするとき、5つ星ホテルに滞在してビジネスクラスに乗るとき(実際にはなかなかないことですが、念のため。わかりますよね?)などもそうです。私たちの社会生活も余暇の時間も、この業界にキャリアを捧げた、懸命に働く彼らなしには、成り立たないのです。
ホスピタリティ及び観光業界における仕事について、知っておかなければいけないのは、いわゆる一般的な、9時-5時までの仕事には、なり得ないという点です。この業界で働く人々は、他の人々が楽しんでいるときに、働かなければならないのです。たとえば、パブやクラブで働く人々は、主に夜に仕事をすることが多いでしょうし、観光業の場合は、人々が夏の休暇でのんびりしているときに、一番忙しくなるのです。
ホスピタリティ及び観光業における仕事とは、親しみがあり、効率的で、しかも丁寧なサービスを、お客様に提供することです。したがって、優れたコミュニケーション能力、忍耐力、明るい性格などが、この業界でうまくやっていくための、不可欠な要素となります。認められるには、この業界で本当に働きたいと、心底望んでいなければなりません。あなた自身が楽しんで仕事をしていなければ、親しみやすい接客をすることは、難しいからです。
ホスピタリティ及び観光業界における職種の選択
ホテル及び宿泊施設での仕事は、施設の種類によって、大きく違ってくることがあります。たとえば、ユースホステルで働いている場合と、5つ星のリゾートホテルで働く場合では、かなりの違いがあるということです。組織の規模や、その組織や施設がどんなサービスを提供しているかによって、いろいろな経験を積んでいくことができます。
どんな組織も、一般的な業務を監督するマネージメント職が必要です。大きめのホテル・チェーンではさらに、財務、マーケティング、人事、一般事務のスタッフをも、雇用しているでしょう。加えて、ホテルや宿泊施設には、以下のような職種もあります:
レストランのスタッフ
シェフ
掃除スタッフ
バー・スタッフ
コンシェルジュ
キッチン・アシスタント
接客スタッフ
エンターテインメント・スタッフ
レストラン、ケータリング、飲食店は、ほとんどが調理をする人々に支えられています。 シェフ、スー・シェフ、コック、そしてキッチン・スタッフは、その専門的なスキルを見込まれて、採用されます。
飲食店でも、重要な意思決定を行い、接客担当のチームが効率的に働くことを指揮する、マネージメント職のスタッフが必要です。
ウェイターやバー・スタッフ、時にはプロのソムリエも必要となります。大規模なレストラン・チェーンでは、ビジネス・マネージャー、財務スタッフ、人事スタッフ、マーケティング・スタッフなども雇用しています。
バーやパブ、クラブでは、実際のバー業務をする人材が求められますが、イギリスでは、マネージメント職のポジションの求人も、多くあります。マネージメントのポジションにいるスタッフは、「小売業ライセンス」(アルコールの販売許可の責任を負うスタッフは、このライセンスが必要)の訓練を受けることが多いようです。
大きめのチェーンなどでは、プロモーションやイベントを取りまとめるための、さまざまな職種を提供しているところもあります。
コーヒー・スタンドや、ジュース・バー、その他の小さなスタンドが、あちらこちらでオープンしているようです。このような形態は、明らかに一大ビジネスになっており、バリスタ、ジュース・オペレーター、マネージメント職などの、雇用機会が出始めています。
カンファレンスや、文化的なイベントにおいては、接客担当から、プロモーション・チームのスタッフ、バー・スタッフにいたるまで、スムーズに運営されていることが大切です。 ケータリングやホスピタリティのスタッフは、病院や学校、大学などの公共のサービス機関でも、特別に重要な役割を担っています。
観光業界は、ホスピタリティ業界と同じような職種となることが多いようです。しかし、ホスピタリティ業界とは、また違った職種も多くあり、人々の旅のお手伝いをしています。旅行代理店や観光情報センターで働く人々は、人々が良い休暇を過ごす手助けとなるような、価値のあるサービスを提供しています。
人々がまだ訪れたことのない場所で、楽しい時間を過ごすための手助けをするのには、彼らの専門知識が、とても重要となります。実際に担当者に会って話を聞くよりも、インターネットや旅行本で情報を得ることが、ますます増えたことは確かです。それでも、旅のプランを練る際に、もう少し人間味がほしい場合、これらの人々が手助けしてくれるでしょう。
同様に、ツアー・オペレーター、ツアー・ガイド、余暇の担当者、観光スポットなどで働くスタッフは、人々が最大限に娯楽を満喫できるよう、手助けしています。 この種の職業は、ツーリズムの中でも少し冒険的な要素を持つ、アドベンチャー・スポーツを行うようなの休暇の場合に、特に重要となります。特殊なスキルを有し、安全や技術的な面に知識を持つ人材が、必要とされるからです。
旅客サービス業の仕事は、観光業における、もう一つの重要な分野です。旅をできるだけ快適で楽しいものにするために不可欠なのが、列車やフェリー、クルーズ船、長距離バスなどの、客室乗務員や接客担当のスタッフです。
というわけで、ホスピタリティや観光業の仕事は、楽しいことばかりを体験できる、というわけにはいきませんが、かといって、いわゆる一般的な、9時-5時勤務の仕事でもありません。これを読んで、興味をお持ちになったのであれば、この業界に関連する、さまざまなキャリア・パスを探求し、サービス及び観光業の仕事が、あなたに合ったものかどうか、確かめてみてください。